NPO法人(設立認証申請中)南アジア文化遺産センターのブログです。センターのウェブサイトはこちら
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2014年9月9日火曜日

私たちがやるべきこと/できること

 事務局長の野口です。
 前回の投稿では、私たちが南アジア文化遺産センターの設立を企図した背景を紹介しました。
 それでは、果たして実際に、私たちは何ができるのでしょうか? そして何をするべきなのでしょうか?
 いま現在、南アジア諸国において文化遺産をめぐって起こっている問題には、緊急かつ大規模なものがいくつもあります。たとえば、これからセンターで支援に取り組む予定のパキスタンにおけるダム建設に伴う水没文化遺産の救援プロジェクトは、緊急性が高く、かつプロジェクトの全体はきわめて大規模になる可能性があります。
 正直なところ、私たちには十分な資金や活動を支える組織がまだありません。本来であれば、こうした大規模な案件は、十分な資金と盤石の体制を有する組織・機関が対応すべきでしょう。私たちにとっても、そのことに異論はありません。
 その代わりに私たちがもっているものは、これまでの南アジア諸国で培ってきた人や組織とのつながりです。私たちには、信頼関係によって結ばれ互いに協力することができるパートナーがいます。私たちが、このダム水没文化遺産の問題について関わるきっかけとなったのも、そうしたパートナーからの要請です。
 このダム水没文化遺産の問題については、これからこのブログやウェブサイトを通じて詳しくお伝えしたいと思いますが、とにかく現状においては、文化遺産の救援・保護に必要な取り組みはまったく手つかずのままです。そこには様々な問題があるのですが、ここでは保護し救援すべき対象の全貌がいまだに分かっていないことが難問として横たわっています。そこで現地側が何よりも望んでいるのは、できる範囲で今すぐにでも調査を開始するための初動における協力です。それは、調査に必要な資金だけでなく、機材やそれを使いこなすための技術、調査に関するノウハウなども含まれます。
 幸いなことに、私たちには技術やノウハウがあります。それを提供して協力するためには一定の資金が必要ですが、これについては助成金の獲得などできる限りの手段を講じて解決したいところです。そして、初動の調査によって保護・救援すべき対象の範囲や重要性を明らかにすることができた時点で、より大規模な支援が可能な組織・期間にバトンタッチすることができれば良いと考えています。
 南アジア諸国における文化遺産をめぐる問題は、このダム水没文化遺産に限りません。そこで必要なのは、個別の案件ごとに対応をするだけでなく、各国における体制づくりの支援をすることだと考えます。ここでも、大規模な組織・機関を整備することは、私たちができること/やるべきことではありません。むしろ規模は小さいながら、継続的に活動を続けていく意欲のある組織やプロジェクトに対して、できる範囲での支援をすることこそが、私たちができること/やるべきことであると思います。
 南アジア諸国には、それぞれの国・地域の文化や歴史に誇りを抱き、自分たちの手で保護し、調査研究を進めたいという熱意をもった人たちが多くいます。私たちがやるべきことは、そのような肥沃な土壌に種を蒔き、水をやり、彼ら/彼女らの活動がそれぞれの土地にしっかりと根を張っていくことを手助けすることです。
 私たちの活動に賛同し、ご支援をいただけるという方は、ぜひ南アジア文化遺産センターの会員になっていただき、センターの運営を支えると同時に積極的に活動に参加していただければ幸いです。

※NPO法人の成立までの間は、設立準備事務局において入会希望の登録を受け付けております

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